-麻雀荘イレブンフレーム-

 オーナーがボウリング好きなのか?
 ボウリング…数年に一度くらい、突発的に「やろう」なんて話が出て嗜む程度で、上手くもない。スコアは100に届かない時もある。定期的にボウリング大会とか開かれていたらどうしよう…

そんな不安はあったが、何より僕が気に入ったのは、フリー麻雀のルールだ。プロの対局ルールにほど近い。一発裏ドラは流石にアリだが、赤ナシ、チップ無しというのがいい。それに、スタッフのゲーム代が無料とある。これは、問合せてみるしかない。

「スタッフ募集の記載を見て、メール致しました」

そんな文面で始まる一文を入力し、メールを送った。

 

 後日、返信があった。要約すると、「とりあえず面接に来い」という事だった。
メールのやりとりだけで済ますのは無理があるという事なのだろう。何度かのやりとりを経て、面接の日時が決まった。

 履歴書、身分証のコピーが必要との事で、それも用意した。

 電車に揺られ、乗り換え一回。麻雀荘イレブンフレームは、都市の中心から少し離れた、住宅街の駅の真上にあった。大きな看板などは無かったが、「麻雀」と入ったのぼりが掲げられていて、一目でそれと分かった。当たり前ではあるが、ホームページと同じ外観だ。

 面接時刻の5分前、僕はのぼりを横目に階段を上り、「いらっしゃいませ」と書かれた、手作りのオブジェが掛かっている扉を開けた。

「面接の人?」
「あ、はい…」

扉が開くのに気付いたのだろう。扉を開けると、初老の男性がカウンターの向こう側で、座ったまま自分を認め、声を掛けてきた。

「とりあえず、そこに座ってもらおうかな」

その男性は、麻雀卓の空いている一つを右腕で示した。卓には板が被せてあり、テーブル代わりとしても使えるようになっていた。

「はい。よろしくお願いします」

僕はそう言って、言われた通り、麻雀卓に備えてある椅子の一つに腰を下ろした。

 

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*物語はフィクションです。実際の団体、店舗及び個人名は実在致しません キリ