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「プロねえ…」

オーナーは、訝しげに口を開いた。

「はい…」

麻雀のプロ。法律事務所の資格保持者と一緒で、店側にとっても付加価値はあるだろう。少しはそんな思いもあったのだが、意外な反応に、少し戸惑った。

「正直さあ…気を悪くするかもしれないけど」

「はい」

「麻雀のプロ?何それ?って感じなんだよね」

「……」

「ある程度強いのは分かるよ。でも、巷で打ってるおっちゃんの方が強いだろって事、多いよな?」

「あ、はい。そうですね」

そこは認めざるを得ない。麻雀プロと名乗る者も、フリーでならしたアマチュアに叩きのめされる話はよくあることだ。

「そういえば…これ、どう思う?」

オーナーは、そう言って近くに置いてあったスポーツ新聞を取り出した。

「これなんだけどさ。何切る?」

紙面を開いて示したのは、釣りコーナーの一角にある、所謂「何切る?」問題だった。

 

東1局 北家 ドラ5万 5巡目

 


牌牌牌牌牌牌牌牌牌牌牌牌牌牌

 

「え?東じゃないんですか?」

「それが、東は切らないらしいのよ」

「え?なんでですか?」

問題を見ると、「東を切ると親に鳴かれて不利になるから、切らない」みたいな事が書いてあった。え?

「で、じゃあ、何切る?」

「ええと、東は切らないんですよね。じゃあ、三万かな。

「…解答、見てみ」

そう言われて、解答を見る。

 


牌

 

え?なんで?メンツ構成牌じゃん。⑧引いたらどうすんの?

そんな疑問が、頭を巡る。

 

「まあ、毎回そんな問題ばかりって訳じゃないけどな。でも、程度が知れるよな」

「……」

「君は男だから、そこそこ強いだろ。改めて、働きたいと思ったら、連絡ちょうだい」

オーナーは、最後にそう言った。

 

改めるまでもない。

僕の肚は、既に決まっていた。

 

面接の翌日、お店に連絡をして、お世話になることを伝えた。

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*物語はフィクションです。実際の団体、店舗及び個人名は実在致しません キリ